* another sky *
「麻友理のこと、嫌いになりたくないんだ。
このままだと本当に…。」
―――――――!!
「嫌いになる?」
―――――。
航太は私を押し返し、出ていく。
振り返りもせずに。
ドアが閉まる音と同時に、私はへたり込んでしまった。
終わった…の?
私達…、終わってしまったの…?
必死に…、積み上げて…きたのに…。
ああああ……。
――――― っ!!
ああああああああああああ―――っ!!!
運命の、人だと思ってた。
私が由樹と別れたことも、航太が玲と別れてくれたのも必然。
そう、信じてた…。
心のずっと奥深いところでは、ね。
わかってた…よ。
私が間違ってるって。
でもそんな思い、ずっと蓋をして突き進んできたんだもん。
そのうち何が本当で、何が嘘なのか、わからなくなってしまった…。
ずっと玲を忘れられなかったんでしょう。
だって、あのクリスマスの夜から、航太は私に手を出すことはなかったもんね…。
だからね、初めて航太が私に触れてくれた時…、本当に、嬉しかったの…。
ああ、やっと。
やっと、私だけに航太になったって…。
やっと幸せになれるって…。
心から震えたんだよ。
航太…。
もう、戻れないの?
私はこれからどうやって生きていけばいいんだろう…。
立ち上がる…力なんて…残されていないもの…。
頭を上げる力さえ…もう…。