* another sky *
慌てて私も立ち上がろうとすると、
「いいから座ってろって。」
と、あっさり制されてしまった。
取りあえず、洗い物をしながら料理したし…。
流しの中にあるのは、使った分のお皿だけだよね。
あ、部屋、片付けてたかなぁ。
そんな心配をしながら翼を見ていたら、ふと今日、佐藤君と話したことが頭を過る。
麻友理は……。
航太と別れて…、どうしているんだろう。
封印していた過去に目を向けたら……、一気に動き出してしまった。
目まぐるしく変わっていく日常に、付いていけない。
何で、綾子と紺ちゃんは、航太に伝えたんだろう……。
当事者だけが、何も知らなかったから…?
私はもう、どうでもいいや。
翼と、穏やかに愛を育んでいけたら…、もうそれでいい。
今のこの、幸せがずっと続きますように…。
これ以上、巻き込まれたくない。
でも、いいんだよね。
私は私、なんだから。
もう、このドロドロとした中から抜け出したんだもん。
後は、私が引きずり込まれなきゃ、いいってことだよね。
麻友理、……。
航太と別れたのなら、もう、電話なんてしてこないよね…。
だったら、いいのに。
もう、何も起こらなきゃ、いいのにな……。