* another sky *

「翼、ビール飲む?」


頭にタオルを乗せたまま、浴室から出てきた翼は、

「お、いいねぇ。」

と嬉しそうに笑う。


「じゃあ、ゆっくりしててね。」


ビールとコップをテーブルの上に用意して、私もシャワーを浴びようと着替えを取りに行く。


この部屋に人を入れたのは、お母さん以外、初めてだ。

もっと緊張するかと思ったのに。

翼はもう何度も来ているみたいに、馴染んでいた。

いつも、自然体、………。

そんな翼の性格が、ちょっぴり羨ましくなる。


髪を乾かして、リビングに戻ると、翼はソファでくつろいでいた。

自分の分のビールを冷蔵庫から取り出して、翼の隣に座る。


あ、足、………。


何も考えずに、いつも通りの格好で出てきちゃったけど……。

いい大人が、パジャマ代わりにTシャツと短パンって、……。

しかも、彼氏がお泊りなのに、…。

私って、ほんと、女子力ないなぁ…。


「……っ。」


何、意識してるんだか、もう…。

ちょっと、離れて座ろうっと…。


「玲んちの風呂、大きいし、気持ちいいな。」


「そう?」


広いリビングのある、2LDKのお洒落な翼の部屋よりも、断然小さい2DKの、私の部屋のお風呂の方が大きい。

疲れて帰ってきても、すぐに寝ちゃうし、お風呂くらいしかゆっくりできないんだもん。

足を伸ばして入れる浴槽を、私も気に入っていた。
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