* another sky *
翼と一緒にいると楽しい。
こんな気持ち、忘れてた…。
幸せ…って、こんな簡単なことなんだって改めて思う。
くすぐったい振りして涙腺が緩む私に、頭をぽんぽんと、撫でる翼。
「玲の泣き虫。」
こんな私の気持ちなんて、お見通し。
すぐにわかっちゃうんだよね。
私は翼の肩に、そっと頭を寄せた。
「しょうがないな。甘えさせてやる。」
「んー。」
この静かで柔らかい、空気感。
私は温かい気持ちになって、満たされていくのが、わかった。
「やっぱり、膝枕がいい。」
「まじか。」
翼は私のしたいようにさせてくれている。
この際、とことん、甘えさせてもらおう。
「玲ちゃん、どうしたの?」
クスクスと笑いながら、翼の膝に寝転んだ私の髪を、撫でていく。
「気持ち、いいなぁ。」
「俺が玲に、膝枕して欲しいんだけど。」
「やだ。」
「やだって、何だよ。」
「これは、私の特権にしようっと。」
「ったく、――――。
可愛いことばっか、言っちゃって。」
見上げた視線の先には、嬉しそうに微笑む、翼。
「好きよ、翼、―――。
すごく、幸せだなって、思う。」
「もっと、もっと、幸せにしてあげる。
だから、俺にも膝枕、して?」
その言い方が、あんまり可愛くて、―――。
思わず、フハッと吹き出してしまった。
ずっとこのまま、幸せな時間が続くといいな。
心からそう、思ってた。