* another sky *

だって、……。

あんなボロボロの麻友理を見てたら…。


一人にしておけない、―――。


それとこれとは別だって、わかっているのに。

自分だけが、幸せでいいのかなって、考えてしまう。


今までなら普通にしてた航太の話だって、躊躇して結局言えなくなっちゃって。


偽善者―――。


こんな自分が嫌になる。



「航太。」


「ん?」


航太は美味しそうに喉を鳴らして、ビールを飲み干す。


「私もね、航太とずっと一緒にいたい…。
…でも、今は麻友理の側にいてあげたいの。」


急にトーンの下がった私に、航太は驚いたように見返した。


「だけど、ね。

…麻友理が傷ついている時に、私だけが幸せでいいのかなって思う。

綺麗ごと、だよね。

何か、今、複雑な感じで…。」


うん。

やっぱり上手く言えない…な。


航太と一緒に過ごす時間は、楽しい。

だけど、一緒にいてもつい、麻友理のことを思い出してしまうんだ。

麻友理はあんな辛い思いしてるのにって。

航太と一緒にいても、麻友理のことが頭から離れなくて…。

つい、うわの空って、こともよくある。

そしたら、今度は航太に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


器用じゃないから、上手く切り離せない。
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