* another sky *
「俺は友達と恋人は、同じラインじゃないと思うんだよね。
あ、すいませーん。」
航太は近くを通った店員さんに声をかけ、ビールを注文する。
「よく、恋人と友達を比べたりする人がいるけど、俺はそんなふうには比べられないんだ。」
私は航太の話に、聞き入った。
「俺はね、どっちも大切だよ。
両方、大切にしたい。
まぁ、価値観っていうのかなぁ。」
「…うん。」
「俺ね、――。
好きになった人はいつも笑っていて欲しいのね。
だから、彼女が出来たら、彼女が喜ぶようなことをしてあげたいわけ。
でね、――。
彼女に思うことは、俺と同じような感覚を持っている人が、望ましいわけ。
玲を支えてくれる家族や友達は、俺も大切に思いたい。
だから俺の家族や友達とかさ、大切にしているものは、玲にも同じように思ってもらいたい。」
「うん。」
「俺は構わないよ?
玲をちょっとばかし、麻友理ちゃんに貸してあげても。
こんなことぐらいで玲を嫌いになったりしないし。
逆に、そういう玲が、好きだよ?」
「…航太。」
「俺の方が玲に我慢させてることって、多いだろ?
残業だったり、休みも仕事だったりさ。
でも、玲は、我儘、言わないじゃん?
何で、―――?」
――――!!