* another sky *

一人に籠ってしまう麻友理を、放っておけなくて。

麻友理が、少しでも前を向いていけるようになるまで、そばにいてあげたい。

それだけで突っ走ってるような気もするけれど。


「ああ、やっぱり、難しい。」


ふうーっと息を吐きながら項垂れる私を航太は笑う。


「そこが玲のキャラクターなのかもな。

正直で嘘がなくて…うーん。

考えてることが、ぜーんぶ顔に出る。

って、千尋さんが言ってたんだけど。」


「え、―――?」


千尋さん、が…?


千尋さんは航太の義理のお姉さん。

年の離れたお兄さんの、綺麗な奥さんだ。


確か…、航太の3歳上だったかな。

航太の実家にご挨拶に伺った時に、初めてお会いして。

それ以来、何度か会って一緒に食事したり、メールしたり、仲良くしてもらっている。


「千尋さんがさ、玲と初めて会った時、女の子らしくて可愛いって思ったんだって。

だけど、最近わかってきたってよ?

本当は違うなって。」


「ええ、…?」


意味がわからず、私は航太を覗き込んだ。


「俺、言われたんだよ。

玲ちゃんのこと、俺が守ってあげなきゃって思ってるでしょうって。」


―――――?


「それは、違うわよ、ってさ。」


「へ、―――?」
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