* another sky *
「何が、可笑しいんだよ?
大事なことだろ。」
「あ…、えっと、ごめん。
ちゃんと説明するって。」
まさか、それで、さっき、泣いてたんじゃ……。
いや、でも、この態度、――――。
何かが、おかしい。
こんな状況なのに、何で笑えるんだ?
この余裕ぶった態度は、何なんだ…?
「私ね、妊娠してるの…。」
わかったよ。
それは聞いたっつーの。
睨みつける俺に全く怯むことなく、麻友理は続けた。
「私ね、玲に聞いて知ってると思うけど…。
由樹の子ども、一度、堕胎してるから。」
「は、――――!?」
ま、じか…。
そんなの、聞いてねえよっ。
「え、…聞いて、なかったの…?」
「…そんなの、聞いてないよ。」
「へえ…。
言わなかったんだ、玲…。」
「……っ!!」
無性に、麻友理の言い方が癇に障って、ムカついた。
俺はカッとなって声を荒立てる。
「玲が言うわけ、ないだろ。
あいつは、親友だと思っている人間を、売ったりはしない。
友達を傷つけるような真似、絶対にするわけがない。」
玲が、そんなこと、俺に言うわけないじゃないか。
だって、あいつは、―――――。
おまえのことが、本当に大切だったんだ。
「そっか…。
航太、知らなかったんだ。」