* another sky *
強く反論した俺に、麻友理は一瞬、顔を歪めたが、何事もなかったようにまた話し始めた。
「あのね、その時の話、なんだけど。
由樹の子どもを堕胎した時に言われちゃったの。
もしかしたら、これからね、妊娠しづらいかもしれませんって。」
―――――――。
「まあ、そうなんだぁって、それはそれでね、受け止めてたんだけど…。
今回、妊娠したでしょ。
順番はおかしいかもしれないけど、これって奇跡、じゃない?
ああもう、絶対に産もうって、思ったの。
だって、妊娠しにくいって、言われてたんだよ?
また堕胎しちゃうのも、ね。」
「……っ。」
「だから、――――。」
「麻友理、俺、お前の言ってる意味、わかんない。
妊娠して、産みたいのはわかった。
でもさ、おまえ、さっき何て言った…?
俺、一応、おまえと付き合ってたと思うけど。」
―――――――。
「うん。…そうだね…。
でも、航太の、子どもじゃないんだ…。
航太の子どもなら、良かったのにね。」
「いや、そういう問題じゃ、…。
他にも男がいたってことかよ。」
俺のせいでこんなにも苦しめて、…。
申し訳ないって、たった今まで思ってたんだぜ?
それが、何なんだよ?
妊娠した、――――?
俺の子供じゃない?
じゃあ、誰の子供なんだよっ。