* another sky *

強く反論した俺に、麻友理は一瞬、顔を歪めたが、何事もなかったようにまた話し始めた。


「あのね、その時の話、なんだけど。

由樹の子どもを堕胎した時に言われちゃったの。

もしかしたら、これからね、妊娠しづらいかもしれませんって。」


―――――――。


「まあ、そうなんだぁって、それはそれでね、受け止めてたんだけど…。

今回、妊娠したでしょ。

順番はおかしいかもしれないけど、これって奇跡、じゃない?

ああもう、絶対に産もうって、思ったの。

だって、妊娠しにくいって、言われてたんだよ?

また堕胎しちゃうのも、ね。」


「……っ。」


「だから、――――。」


「麻友理、俺、お前の言ってる意味、わかんない。

妊娠して、産みたいのはわかった。

でもさ、おまえ、さっき何て言った…?

俺、一応、おまえと付き合ってたと思うけど。」


―――――――。


「うん。…そうだね…。

でも、航太の、子どもじゃないんだ…。

航太の子どもなら、良かったのにね。」


「いや、そういう問題じゃ、…。

他にも男がいたってことかよ。」


俺のせいでこんなにも苦しめて、…。


申し訳ないって、たった今まで思ってたんだぜ?


それが、何なんだよ?


妊娠した、――――?


俺の子供じゃない?



じゃあ、誰の子供なんだよっ。

< 490 / 769 >

この作品をシェア

pagetop