* another sky *
「玲っ。 こっち、こっち!!」
私を呼ぶ声に、振り返る。
「航太っ。」
私は満面の笑みを浮かべて、駐車している車に近付いていく。
「待った?」
12月28日。
久しぶりのデートの日。
ここ最近、寒い日が続いていたからなぁ。
冬の晴れ間とあって、澄んだ空気が気持ちいい。
ねえ、航太。
今日の私、可愛い?
このワンピース、航太が好きなデザインでしょう?
似合うかな。
喜んでくれると、いいな。
助手席のドアを開け、ドキドキしながら航太を見つめた。
「うわ。玲、可愛いじゃん。」
やった!!
航太のひと言で、こんなにも有頂天になっちゃうんだから、我ながら単純だなって呆れちゃう。
だって、どんなに小さな変化でも、航太はきちんと気付いて、褒めてくれるから。
航太が喜んでくれると思うと、常に可愛くいたいって思うんだもん。
航太の好きな、ファッション。
好きな、ヘアスタイル。
いっぱい、いっぱい研究して。
航太の横に並ぶには、常に完璧でいたいって思うから。
「今日も可愛いね。」
たった、このひと言が、聞きたくて。
私はいつだって、頑張れちゃうんだよね。