* another sky *


「吉野、明日の会議、一人で行けるか?」


「えっ、下山スポーツ公園のやつですか?」


「俺、明日、別件が入ったんや。

一人でいけるやろ?

図面、見せるだけやし。」



この2週間、私は忙しさを理由に、毎日を過ごしていた。


実際、目が回るような忙しさだったし、いくつか締め切りも重なっていたのは、確か…。

当たり前のように残業することで、なるべく自由になる時間を作らないようにしていた。



そう、2年前の、あの頃と同じように…。



「わかりました。
訂正もないですし、大丈夫です。」


しなくてもいいようなことまで引き受けて、仕事に没頭する日々。


メールのひとつくらい、返せるはずなのに。


わかってるけど、……。


何て返したらいいのか…、わかんなくて。


考える時間さえ億劫で、私はこの目の前の状況から逃げていたんだと思う。


自分と向き合うことが怖くて仕方がない、ただの、ヘタレ…。


こんな私の有様に、諏訪さんも桜木さんも、気が付かないわけがない。


それでも、何も言ってこなかったのは、私が完全に拒絶していたから…。



触れないで、―――――。



精いっぱいの、撥ねつけたオーラを出し続けて。


きっと二人とも、呆れてるはずだ。


「直帰させてやりたいんやけど、戻って来てくれるか?
確認だけしときたいんや。」


「了解です。」


「じゃあ、頼むで。」

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