* another sky *


「おかえり、玲。

もう、絶対、―――――。

離すつもりなんか、ないから。

俺のそばで、笑ってくれれば、それでいい。」



―――――――!!


苦しくて、切なくて、……。


とろけそうになるくらい優しい声が、私に沁み渡っていく。



「好きよ、翼。

もう、離れない。」



そっと体を離した時、翼は嬉しそうに笑っていた。


翼のね、このきゅっと上がった口角が好きなの。



「ごめんね、いつもいつも、グダグダで。

でもね、私なりに、前に進んでるって…思う。

翼がそばにいてくれたから、今があるの。

もっと、…あの、…その、……。」



「ん?」



「…私、いつも、上手く伝えられなくて…。

えっと、……。

翼のそばにいると、緩々になっちゃうのは、……。」



あーん、どう表現したらいいんだろう。


こんなにも近くて、甘くて。


翼の腕の中は、私を癒してくれるっていうのに。



「じ、自分が自分じゃないっていうか、……。

好きとか、愛してるとか、そういう…言葉じゃないっていうか……。

翼と、交わりたい…?

翼と同化したい…っていうか…。」



「俺と…?」



そっと指で唇に触れると、翼の瞳が大きく揺れた。



「翼を、常に、感じていたいって…いうか…。

うーん、それって、好きって言葉に集約されちゃうのかな…。」



私は頬が赤くなるのを感じて俯いた。

< 527 / 769 >

この作品をシェア

pagetop