* another sky *
「そ、そうだよね…。」
ふらふらと箪笥から何か引っ張り出し、放心状態のままTシャツを脱ぎはじめる。
足首まである長いワンピースを、すっぽりと頭から被ると、また固まって動けなくなってしまった。
ノースリーブから見える、二の腕。
これだけじゃあなぁと思うけれど、さすがに着替えまでは手伝えない。
「ったく、――――。
玲、ほらっ、これ着てなっ。」
俺は着ていたパーカーを脱ぐと、玲に被せた。
玲にはデカイけど、……。
腰まで隠れるし、まぁ、これで何とか…。
とにかく、急いで病院へ向わなければ。
このまま、俺はここには戻ってこれないだろう。
自分の荷物を確認すると、玲の腕を引き、外へ出た。
可哀そうな玲…。
これからどうなっていくんだろう…。
俺も、……正直、不安を隠せない。
せっかく、――――。
上手くいくかと、思ったのに。
お互いが歩み寄れたのに……。
タクシーの中でも、玲は声を上げて泣いていた。
タオルを持つ指が白く、必死で嗚咽を堪えている。
まだまだ、俺たちには、試練が続くんだな……。
そっと引き寄せると、甘えるようにすり寄ってくる。
「……っ!!」
何とか、……。
どうにか、玲を、守っていかなければ……。
玲の頭に唇を寄せ、強く抱き寄せた。
俺が、玲を、守るんだ。