* another sky *
「あの…。」
玲に、聞かせたくないんだろうか…。
藤池さんは俺を廊下へと連れ出した。
「すみません。
…あの…。」
―――――――?
「玲と、一緒にいて下さって、良かったです。」
少し俯き加減に、小さな声で藤池さんは話し出した。
「玲から、話を聞いてるかと思います。」
「…ええ。」
「玲、上原さんにはどう映っているのか…、わかりませんが…。」
そっと視線を上げ、俺の目を真っ直ぐに見つめて言う。
「玲は、……。
どちらかというと守ってあげなきゃって、女の私でも思うような、優しくて繊細な子でした。
それが、先日、久しぶりに会って…。」
――――――――。
「全くイメージが変わっていました。
あの子がどれほど一人で、……。
頑張ってきたのかと思うと、胸が張り裂けそうになりました。
それくらい、痛々しくて、可哀そうで…。」
「……っ。」
「上原さんの話を、玲から聞きました。
どうか、玲を支えてあげて下さい。
玲、すごくいい子なんです。
他人の心配ばかりして、いつも自分を押さえこんで…。」
「…わかってます。」
言葉を選びながら、一生懸命伝えようとする藤池さんの気持ちが、胸にダイレクトに響いてくる。