* another sky *
緑の非常灯に、人影が、過る。
その瞬間、玲の視線が揺れたのを、俺は見逃さなかった。
「なっ、―――!!」
――――――――!!
目を見開いたまま、驚きを隠せないでいる。
背中に回した指先に力が入り、だんだんと眼差しは強くなっていく。
「こ、うた…。」
玲は、唇を震わせながら、小さく呟いた。
え、―――?
強張ったまま、動けない玲の視線の先に、俺もゆっくりと視線を向けた。
「……っ。」
そこにいたのは、間違いなく玲の元カレ、なんだろう。
相手も動揺して、動けないでいる。
ここで、…会うのかよ…。
動揺を悟られないように、眉間に皺を寄せて。
玲を強く、抱き寄せた。
「…れ、い…?」
刹那、―――。
俺の腕の中から、玲が消えた。
「玲、なのか…?」
その声に反応して、玲は飛びかかっていった。
「何、やってんのよっ!!」
と、大声で叫びながら。
「何でっ?
麻友理が、何したっていうのよっ!!」
玲は、そいつのシャツを掴み、必死に胸を叩きつけていく。
「玲っ!!」
引き剥がそうとしても、玲はまた向っていく。
玲の痛みが、俺にまで流れ込んでくる。
これ以上押さえるのも躊躇ってしまうくらい、玲は自分自身と戦っていた。
迸る感情を爆発させ、泣き喚きながら…。
「……っ!!」
どうする事もできない俺は、押さえていた玲の腕をゆっくりと離した…。
玲が思うように、すればいい。
そう、思ったんだ。