* another sky *


「おお。サンキュー、サンキュー。」


渡してすぐに帰ろうかと思っていたら、

「茶でも、しよか。」

意外な諏訪さんのお誘いで、カフェに入る。


「うわー。

めっちゃ良い席やん、ありがとうなぁ。」


細い目をさらに細くして、諏訪さんは喜んでいた。


「後で桜木も来るけど、ええ?」


「ええ。良いですよ。」


俺からは、玲の話は振らない。

でも、玲の話が出たら、ありがたく聞いておこう。

そんな魂胆が合ったことは、…認めよう。

全く連絡してこない玲が、今どんな感じなのか、…気になるしね。


「結婚式の準備、進んでますか?」


もうすぐ結婚する二人は幸せそうにお互いを見合う。


「うわっ。

諏訪さんがピンクのオーラに包まれてる。」


素直に羨ましくて、俺まで嬉しくなるよ。


「翼くん、是非来てね。」


「ほんまやで。

上原選手には頼みたいこと、ぎょうさんあんねん。」


「諏訪くんたら、翼くんのこと使おうとする魂胆なのよ。

ちゃんと断ってね。」


へぇ、桜木さんってこんなに柔らかい顔して笑うんだ。

元から綺麗な人だけど、今は輝きが違うよな…。

女の人ってすげえな。


「だから、早く、吉野と仲直りしてね。」


――――――――!!

< 548 / 769 >

この作品をシェア

pagetop