* another sky *
「おお。サンキュー、サンキュー。」
渡してすぐに帰ろうかと思っていたら、
「茶でも、しよか。」
意外な諏訪さんのお誘いで、カフェに入る。
「うわー。
めっちゃ良い席やん、ありがとうなぁ。」
細い目をさらに細くして、諏訪さんは喜んでいた。
「後で桜木も来るけど、ええ?」
「ええ。良いですよ。」
俺からは、玲の話は振らない。
でも、玲の話が出たら、ありがたく聞いておこう。
そんな魂胆が合ったことは、…認めよう。
全く連絡してこない玲が、今どんな感じなのか、…気になるしね。
「結婚式の準備、進んでますか?」
もうすぐ結婚する二人は幸せそうにお互いを見合う。
「うわっ。
諏訪さんがピンクのオーラに包まれてる。」
素直に羨ましくて、俺まで嬉しくなるよ。
「翼くん、是非来てね。」
「ほんまやで。
上原選手には頼みたいこと、ぎょうさんあんねん。」
「諏訪くんたら、翼くんのこと使おうとする魂胆なのよ。
ちゃんと断ってね。」
へぇ、桜木さんってこんなに柔らかい顔して笑うんだ。
元から綺麗な人だけど、今は輝きが違うよな…。
女の人ってすげえな。
「だから、早く、吉野と仲直りしてね。」
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