* another sky *
「あれはマジで、しくじった…。
それも申請行かなきゃなぁ。
玲、覚えといて。」
残念ながら、自分のパスポートが切れていたことに、航太は相当ショックだったようで。
「はい、はい。」
「はい、は、一回だよ。」
あはは。
何だか拗ねてるみたいで、可愛い。
航太のこういう顔、なかなか見れないし。
ちょっと得した気がして、嬉しくなる。
「次は海外行こうな。」
「うん!」
「玲が就職すると難しいから。
秋の連休とかに行けるといいなぁ。」
私は航太と一緒なら、どこでもいいんだけどなぁ。
一緒に過ごせるのなら、どこかに出かけなくたっていいのに。
「じゃあ、メシ食って映画でも行く?」
航太の大きな手のひらが、私の小さな手のひらを包み込む。
「うんっ。」
私が航太を見上げた、その時。
後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。
「れーいっ!」
「あれ…?」
麻友理、だ―――。
振り返ると、麻友理が大きく手を振っていた。