* another sky *
玲…、俺だって、緊張してるよ。
玲がどんな答えを出すのか、不安で仕方ないんだから。
でも、逃げてたら、だめだろう?
不安のまま過ごすくらいなら、はっきりと決着を付けたいんだ。
「翼。」
少し震える声で、玲は俺に視線を向ける。
普段よりずっと薄いメイクに、さっと束ねただけの髪が逆に色っぽい。
「うん。」
いつもより、距離のある、二人。
その視線が、ゆっくりと絡まった。
「えっと…。ごめんなさい。」
「何に、謝ってる?」
「まず最初に、連絡しなかったこと、かな…。」
そう言って、玲は俯いた。
「麻友理さんの体調はどうなの?」
「あ、うん。
あれから会ってないの。
お見舞いをしばらく遠慮してほしいって言われて…。」
え、―――?
「麻友理さんに?」
「うううん、綾子に。
…麻友理から航太に別れ話をしたから。
…私が顔を出すと、いろいろ思い出しちゃって辛いだろうからって…。」
「そっか…。」
また、いろんなことが、あったんだね…。
二年も前のことで、未だにこんなにも苦しんで…。
いつまで苦しめば、いいんだろうね。
悩みの糸は、解けるのかな…。
―――――。
沈黙が…、続いていく…。
このまま、時間だけが過ぎたって、何の解決策にもならない。
俺は意を決して、声をかけた。