* another sky *
「あれから、私は考えたの。
もしかして、まだ好きなのかなとか、戻りたいのかな?とか…。
戻りたいのなら、今なら戻れるんじゃないかって。…」
――――――――。
その後に続く言葉が、正直、…怖かった。
俺の脳裏に、あの時の玲が過る。
切なそうに、あいつを見つめていた、あの眼差しが…。
「結論は、―――――。
戻りたいとか、戻れないじゃなくて、私は戻らないんだって。
だから、ちゃんと航太と話が出来たの。
辛かったって言えたし、ありがとうってことも、伝えられたし。
自分の中で、あの2年間が過去となって…、振り返ることが出来た。」
―――――――――。
「……、だけど…。」
「……っ!!」
「航太にね、抱きしめられた時、拒めなかった…。
麻友理を心配そうに見つめる姿っていうか…。
そういうの、目の当たりにしたら……。
辛くなっちゃった。
何だろう…、胸が痛くて、苦しくて…。」
玲の視線、あれは、嫉妬だ。
玲の知らないあいつと麻友理さんの、過ごしてきた時間を垣間見て、…嫉妬したんだよな?
短い時間かもしれないけれど、あの二人にも愛が合ったんだ。
それに気付いたんだよな…。
切なくて苦しい眼差しは、必死に現実を受け入れようとする玲の足掻き…。
まだ玲の中に、――――。
あいつに対する気持ちがあったことが、俺にはショックだったんだ。