* another sky *


「愛してる、玲。」


こんなにも狂おしい程、人を愛したのは初めてだ。

嫉妬…?

独占欲…?

そんなの、今まで、知らなかった。

そうか、――――。

どうしても自分から手に入れたくて、自分のものにしたかったのは…。

玲、だけなんだ。

もがいて、待って、悩んで、耐えて……。

そうだ。

俺は玲を手に入れる為に、必死だったんだ。


「好きよ、翼、――――。」


「…っ。」


「私が好きなのは、翼だけ。」


―――――!!


玲の胸に抱かれ、俺は泣きそうだった。


「どんなに翼が嫌だって言っても、私は翼から離れない。

翼じゃなきゃ、だめなの。

他の人じゃ、だめ。

私は、翼のことを愛してるから。」


…玲っ!!


「今度は、…これからは、私が翼を…。

翼を、守ってあげるからね。」


「……っ。」


こんな弱い俺も受け止めてくれるの?


優しく、そうっと髪を撫でながら、

「愛してる。」

と、玲は何度も繰り返す。


「だから、そばに、いさせて。」


痛いほどに流れ込んでくる、玲の気持ちに俺は震えた。


こんな情けない顔、今までなら誰にも見られたくなかったのに…。


だけど、…玲なら。


ねえ、少しだけ。


少しだけでいいから、このまま…甘えさせて…。


君の胸に、抱かれていたいんだ…。
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