* another sky *
「うん。急いでなかったら、是非。
玲の話も聞きたいし。」
「わ、私の話??」
「えー。
じゃあ、せっかくだからご一緒させてもらおうかなぁ。
玲のことなら何でも聞いてくださいね。
私、玲の家の冷蔵庫の中までわかっちゃう。」
「あはは。 じゃ、じっくりと。」
明るく弾んだ声で会話する麻友理に、私は何だかホッとしていた。
良かった…。
高橋君と会って、少し元気がでてきたのかも。
明日から実家に帰るんだし、家族や友達に会えるのが嬉しいのかもしれない、なんて。
航太と麻友理。
自分の大切な人達が、仲良くなってくれることも、嬉しくて。
食事が終わると、一度家にお土産を置いてくるから、と麻友理は帰って行く。
「玲、また後でね。」
と、上機嫌に手を振って。
「麻友理ちゃん、思ったより元気そうだったね。」
「うん。そうだね。
少し、元気になれたかなぁ。」
「玲、頑張ってたからね。」
「うううん。
私、何もしてない。
私って無力だなぁって、ほんと情けなくて。」
私と一緒の時の麻友理は、多分、素だったと思う。
感情のコントロールが効かなかったり…。
突然、大声で泣いたり…。
私はそんな麻友理を、見守ることしか出来なかったから。