* another sky *

「うん。急いでなかったら、是非。
玲の話も聞きたいし。」


「わ、私の話??」


「えー。

じゃあ、せっかくだからご一緒させてもらおうかなぁ。

玲のことなら何でも聞いてくださいね。

私、玲の家の冷蔵庫の中までわかっちゃう。」


「あはは。 じゃ、じっくりと。」


明るく弾んだ声で会話する麻友理に、私は何だかホッとしていた。


良かった…。

高橋君と会って、少し元気がでてきたのかも。


明日から実家に帰るんだし、家族や友達に会えるのが嬉しいのかもしれない、なんて。


航太と麻友理。


自分の大切な人達が、仲良くなってくれることも、嬉しくて。


食事が終わると、一度家にお土産を置いてくるから、と麻友理は帰って行く。


「玲、また後でね。」

と、上機嫌に手を振って。


「麻友理ちゃん、思ったより元気そうだったね。」


「うん。そうだね。
少し、元気になれたかなぁ。」


「玲、頑張ってたからね。」


「うううん。 

私、何もしてない。

私って無力だなぁって、ほんと情けなくて。」


私と一緒の時の麻友理は、多分、素だったと思う。


感情のコントロールが効かなかったり…。

突然、大声で泣いたり…。

私はそんな麻友理を、見守ることしか出来なかったから。
< 58 / 769 >

この作品をシェア

pagetop