* another sky *
◇ REI
朝、目が覚めると、翼は既に出かけていた。
あー、……。
結局、ソファで寝たんだ。
行ってきます、なかったな…。
当然といえば、当然、…。
昨日の私、最悪だと自分でもわかってる。
翼、――――。
昨日は結構、飲んでたよね…。
誰と一緒にいたんだろう…。
―――――。
時計を見ると、8時を指していた。
確か、朝練は8時まで。
もうすぐ翼、帰ってきちゃう…。
はぁー。
何となく、顔を合わせるのが、…億劫…。
私はお財布と携帯だけを持って家を出た。
土曜の朝から行く場所なんて、ないし。
「それで、家に来たってわけ??」
「…うん。」
そう、ここは綾子の家。
綾子の家と言っても、紺ちゃんと一緒に住んでいるから二人の家なんだけどね…。
「もう、―――。
せっかくの休みなのに、朝から来ないでよ。」
「ほら、綾子もそんなこと言うなって。
玲ちゃん、どこも行くとこなかったんだろう?」
パジャマ姿の二人に挟まれて、私は小さく俯いた。
「もうっ、―――。
着替えてくるから、玲、朝ごはん作ってよね。」
「はーい…。」
勝手しったるキッチンへ行き、冷蔵庫を確認して朝食の準備をする。
簡単にスクランブルエッグにトマトを添えて、パンが焼き上がったところに、紺ちゃんがコーヒーを淹れてくれた。