* another sky *


「玲ってさ、――――。

初めて会った時、今と全然、感じが違ってね、――。」



大学に入学して直ぐの私は、当然、田舎から出てきたばっかりの、だっさい女の子なわけで。

身長も低いし、童顔。

どこから見ても、大学生には見えなかったと思う。


ずっとモーグルばっかりだったし、お化粧なんかしたこともなくて。

綾子や梨花みたいに、都会で生まれ育ったわけじゃないから、どう見たっておしゃれにはほど遠いし。


うん、ジャージでどこでも行けちゃう、的な?


ばっちりメイクをしてブランドのバッグを持った梨花や綾子と並ぶと、笑えるくらい田舎っぽさが目立ってたと思う。

キラキラした二人とは人種が違うなって、思ってた。


麻友理も、違った意味で別だったな…。

同じように地方から出てきて、慣れない土地での一人暮らし。

そういう所は、良く似た境遇ではあったけれど。

麻友理には、高橋君がいた。

醸し出す雰囲気は大人っぽくて、子どもっぽい私とは、全然違ったから…。


私はみんなに影響されて、少しずつ変わっていったと思う。


そして、航太が、私を作り上げた。


見かけも、中身も、そして身体も、―――。


大人にしたのは、航太だ。


あの頃の、私。


基準が、全て、航太、だった―――。
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