* another sky *
◇ TASUKU
「いないし…。」
リンクから戻ってみると、玲の姿はなかった。
朝っぱらから、どこ行ったんだか…。
まあ、行くとしたら近所のコンビニ、ファストフード、そして藤池さんの所ってとこか。
あーあ。
玲の好きなお店のサンドウィッチ、買ってきたのに。
俺はテーブルの上に朝ごはんのパンを置き、Tシャツと短パンに着替えた。
「…っ。」
あったま、痛てぇ…。
昨日は飲み過ぎた…。
ソファで寝てしまったし、何か怠いし寝たりない。
玲が戻って来るまで、寝て待つとするか…。
頭痛薬を飲んで、そのままベッドに入る。
うとうとしかけた時に、玄関の開く音が聞こえた。
玲、―――――。
帰ってきたんだ―――。
俺は寝がえりを打って、寝た振りをするという卑怯な手に出ることにした。
リビングを歩く音がして、玲がベッドルームへと入ってくる。
「――たすく…?」
小さな声が、俺の名前を呼んだ。
寝てますよー。
俺は卑怯だからねー。
寝た振り、してるからねー。
後ろを向いた俺の額に、そっと手が添えられる。
ああ、薬、出しっぱなしにしてたっけ。
玲ちゃん、心配してくれるんですか?
そんな気遣いを見せられて、俺はあっさりと陥落。
咄嗟に、今、目が覚めた振りをした。