* another sky *
◇ REI
バンッ、―――!!!
玄関のドアの閉まる音を聞いて、翼が出て行ったことがわかった。
あんなに怒った翼は初めてだ…。
すごく、傷ついた顔をして…。
…私、馬鹿だ…。
翼なら、何でも許してくれるだろうって、高を括って…。
せめてもう少し、ましな言い方、出来たのに。
あんなふざけた言い方しなくたって、良かったのに。
あれじゃあ、蔑にされていると思われたって、仕方無いじゃん…。
「…っ、…ふぇ……、っ…ん…。」
今さら、泣いたって、仕方ないのに。
もう、どうしたらいいんだろう…。
「ん、…。」
きっと、勘違いしちゃった。
まだ、航太のことを引きずってるんだろうって。
気持ちがあるから、思い出すのが辛いんだって、誤解しちゃったよね…?
そうじゃないの。
これ以上、翼を航太のことで苦しめたくないから、避けたかっただけなの。
軽い感じで話してしまえば、さらっと終われるような気がして…。
簡単な話だなんて思った、私が浅はかだった。
馬鹿。馬鹿。馬鹿。
翼を傷つけてまで、私は何がしたかったの??
最悪だ…。
その日、翼は家に帰ってこなかった。
当然、私は、一睡もできなかった。
一番、大切な人を傷つけてしまったことが、情けなくて悲しかった。
翼は、どんな思いで過ごしているの?