* another sky *

「おー。涼しい。」


航太はエアコンの温度を一気に下げると、流れ出す冷風に顔を向ける。


「生き返るな、これ。」


「もう…。22℃って寒すぎ!!」


私はエアコンのリモコンを取り上げ、ピピピと設定温度を直す。


「あ、こら。リモコン返せ。」


さっきまでの、外で会う顔とは違って、二人きりの時は少年のような顔を見せる、航太。

そんな子どもみたいな表情に、私はいつもドキドキしてしまうんだ。


「テレビでも見る??」


何気なく伸ばした腕を、航太にそっと掴まれて。

一気に甘くなった雰囲気に、恥ずかしくなって唇を噛む。


「あ、あの、――。」


真っ直ぐに向けられた視線が、私の頬を赤くする。


「テレビは、見ないよ?」


長い腕がふわりと回され、包み込まれるように抱きしめられると、大好きな航太の匂いが鼻腔を擽った。


航太の、匂い―――。


香水とかつけてないのになぁ。


安心するっていうか、癒されちゃうんだよね……。


「…心臓の音が、聞こえるね。」


航太に胸に抱かれて、私はそっと目を閉じた。


静かな、静かな、昼下がり。


「…何か、癒されちゃうなぁ。」


ぼそりと呟いた言葉に、航太がふっと笑った気がした。
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