* another sky *

「…わかってるもん。」


私は俯きながら、小さな声で答えた。

そんな私を見越して、航太は、くくく、と笑い出す。


「笑うこと、ないのに…。」


不貞腐れた顔で、唇を尖らせて主張する。


「いやいや。
何でこんなに小さいのかなって思って、さ。」


え、―――。


そっち、なの?


「俺の中に、すっぽり収まっちゃうからさ。」


―――――!!


「可愛いサイズに生まれてきてくれて、ありがとう。」


航太はまるで小さな子供を見るような眼差しで、私を見入った。


「…っ。」


何だか、ムカつくのは気のせいかな…。


「…大きくなりたかったもん。

身長だって、もう少し、欲しかったし。」


だけどね、早い段階で成長、止まっちゃったんだもん。


「そっか。 でもいいや。

玲ちゃんは小さくて可愛いから。」


――――――!!


また、でたなっ。

『玲ちゃん。』


やっぱり航太、からかってる!!

この流れ、おかしいと思ったんだ。


どんどん唇を尖らせていく私に、わざとらしく目を丸くして覗き込む航太。


「どうしちゃったの、玲ちゃん?」


「…どうも、してない。」


「じゃあ、笑ってよ。」


膨らんだ頬を、ムニッと指でつまむと、満面の笑みを私に向ける。
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