* another sky *

「翼の基準って、どこよ。」


だって、仕方ないだろう?

あんまり綺麗だから、触れたくなるんだ。

触れたくなったら、脱がせたくなるし。


「正直な、男の感想だっつーの。」


クスクス笑いながら、困ったように俺を見上げて。


「奥さま、だって。」


「だって玲、もうすぐ上原さんになるじゃん。」


「そっか。私、もうすぐ上原さんになるんだ。」


誰も見ていないことを確認して、素早く頬にキスをすると、玲は真っ赤になって俯いた。


「あー。翼に付いて来てもらってよかったー。

一人だったら、絶対に決められなかった。」


ドレスと一緒に、ショールとチョーカーを購入し、玲は満足そうに微笑んだ。


本当に良く笑うようになったな。

家の中でも、玲が笑顔でいてくれるから、俺も自然と笑顔でいられるんだ。


「玲ってさ、バシバシ切り捨てるところと、思いっきり優柔不断な所、あるよね。」


「あははっ。自分のことは、わかんないの。

どーでもいいっていうか。」


くくっ、どーでもいいのかよ。


「翼がこれがいいっていってくれたら、もう、それでいい。

私より私のこと、わかってくれてるでしょっ。」


「いや、…それもちょっと複雑なんだよね。

可愛いのは、俺と一緒の時限定、でお願いしたいんだけど。」


「ははっ。翼と一緒の時にしか、着ないよ、こんなワンピース。」

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