* another sky *
「翼は、買い物、いいの?」
「うーん。俺、スーツ苦手だし…。」
あ、スーツ、諏訪さんの時にクリーニング出したまんまだ。
「じゃあさ、結婚式でさ、お揃いにしようっ!!」
「え、何を…?」
―――――!!
玲の瞳は、小さな子どものようにキラッキラに輝いていて、はっとするくらい綺麗だった。
「ネクタイだよー。
翼のネクタイ、私のドレスと同じ色にしよう?
ね?」
そんなキラキラした瞳で覗き込まれたら、断れないっしょ。
「いいよ。じゃ、そうしよっか。」
玲のドレスに良く似た、サーモンピンクのネクタイとチーフを購入すると、何故か玲の方が興奮していた。
「お揃い、初めてっ。ひゃはは。」
「…初めて?」
「そんなの、やったことないもん。何か、嬉しいねっ。」
そういうもんなんだ。
そんなこと、考えたこともなかったな。
あまりにも嬉しそうな顔をして喜ぶから、こっちまで笑ってしまう。
「え、可笑しい??」
「いや、玲、興奮しすぎ。」
「だってー、嬉しいでしょーっ。
じゃあ、翼はあるの?
お揃いとか、ペアとか。」
「あるよ?」
何気ない質問だったから、何も考えずに答えた。
玲の顔が一瞬で曇ってしまったことで、大いに焦る、俺。
うわっ!!
え、ええ――??
もしかして、地雷、踏んだ…?