* another sky *
「お揃いなんか、しなきゃよかった。」
ええ、――?
そんなにテンション、落ちんの??
唇を尖らせた玲は、俺の腕を振りほどき、さっさと前を歩きだす。
ったく、――――。
聞いて落ちるなら聞くなって…、ねえ?
「れーい、玲ちゃーん。」
後ろから声をかけると、澄ました顔で振り返る玲。
怒ってる、怒ってる。
俺は横に並ぶと、逃げないように腕を掴み直した。
「中学の時かな、海外試合に行く時、その時の彼女とお揃いのジャージにしただろ。
それから、携帯のストラップもお揃いにされたなあ。
高校生の時は、スニーカーとか…。
色違いのリュックとかね。
あー、あった、あった。
遠距離の子とは、―――。」
「あー!!もう、いいですっ!翼の馬鹿っ!!」
「だって、俺の周り、女の子ばっかだよ?
男子率、低いスポーツだしさ。
そういうの、普通だったから何とも思わなかった。」
―――――。
「…はしゃいじゃって、馬鹿みたい…。」
がっくりと意気消沈した玲は、大きな溜め息を吐く。
あーあ。
拗ねちゃって、可愛いんだからもう。
俺は玲の頭に手を乗せ、ぽんぽんと叩く。
これは玲が好きな、俺の仕草ランキングのベスト3に入るらしい。
いろんなところで使わせてもらってるけれど、かなり効果があるんだよね。
小さな喧嘩は、だいたいこれで解決できるから、不思議。