* another sky *
「ねぇ、そろそろじゃない?」
「何が?」
「渡瀬さんや佐藤さん、まだ来てないよね??」
―――――!!
思わず顔を上げてキョロキョロ見渡してみる…。
ホントだ。まだ、来ていない…。
来たら当然、―――。
受付に来るよね。
航太の名前を出された瞬間、挙動不審になる私の背中を、梨花がそっと叩いた。
「落ち着いて、玲。」
「う、うん。
そろそろ心の準備、してなきゃね。」
ふうーっと息を吐くと、ようやく落ち着いてきた。
「いい、玲、――――。
めいっぱい、幸せそうに笑ってやんなさいよ。」
誠実でピュアな性格の梨花からしてみたら、航太は論ずるに値しないらしい。
目も合わせたくないし、口も聞きたくない。
だけど、大人だから、大人の対応、するわよ?
紺ちゃん側の招待客だし、私たちがどうこうするわけではないのにも関わらず、梨花は辛辣な言葉を並べて綾子を慌てさせた。
「対応は梨花に任せようと思ってたんだけど。
玲が前に立たなきゃいけないかもー。
ごめんねー。」
―――――。
「りょ、了解…。」
確かに、当事者以外、梨花だけが目撃者だったから。
自分の対応が悪かったせいで…と、ずっと梨花は悩んでいたと、綾ちゃんに聞かされた時。
意地なんか張ってないで、もっと早く連絡すれば良かったと後悔したんだ。