* another sky *
「ありがとうございます。佐藤君、お久しぶりですね。」
梨花は、余裕さえある笑顔で佐藤君に声をかけていた。
素晴らしい、大人の対応。
梨花、恐るべし
「玲、――――。」
その時、聞こえた、懐かしい声。
私は目の前に立つ、航太を見上げた。
少し痩せたのかな。
私の、大好きだった人が、目の前に立っている。
「航太、久しぶりだね。」
めいっぱい幸せそうに笑う、とか、大人の対応、とか。
そういったこと、全部…、吹っ飛んじゃってた。
航太の顔を見たら、自然とにっこり笑えたんだ。
「うん。玲も元気だった?」
少しホッとしたような、航太の顔。
そうだよね、航太だって…。
隣で梨花は、睨んでるし、ね。
「玲、綺麗だね。」
「ふふ、ありがとう。」
「航太も素敵だよ。」
背が高い航太は、やっぱりスーツが似合う。
航太の仕事帰りにデートする時は、並んで歩いてもおかしくないようにって、私も服装、頑張ってたなあ。
懐かしい、思い出だ。
―――――。
―――――。
その後の会話が、続かない。
そんな私たちに、佐藤君が間に入る。
「玲ちゃん、梨花ちゃん、じゃあ、また後で。」
梨花は、それはもう完璧な微笑みで二人を見送っていた。