* another sky *

「玲、可愛い顔、見せて。」


「…やだ…。」


悔しくなった私は、ぷいっと航太から顔を背けた。


「玲は俺のこと、嫌いなの?」


「…違う、けど…。」


「じゃあ、こっち向いてよ。」


「…う、――。」


「こっち向かないなら、無理やり向かせちゃうよ?」


「む、向かないもんっ…。


…えっ!!


きゃあっ!!!」


膝の裏に腕を入れると、あっという間に私を抱え込む。

一瞬で身体が宙に浮き、そのまま航太の膝の上に下ろされた。


その刹那、―――。


太ももを這い上がる手のひらが、内ももにも迫ってくる。

航太の息遣いが耳に響いたかと思うと、耳たぶを優しく甘噛みされた。


「んっ、―――。」


そんな私の反応を楽しむかのように、柔らかな舌が動き出す。


「…やっ、…んっ。

もう、ずるい…よ。」


押し返すように胸に手を当て、意を決して顔を上げると、即座に唇が塞がれる。


「…んっ、…。」


「玲の反応、たまんないんだよね。

すぐ真っ赤になるところも、全部、好き。」


…、やっぱり――。


私は観念したかのように、小さく息を吐く。


もう、航太に勝てる気なんかしない。

張り合おうとする自分が甘いんだって、わかっているのに…。


恋愛経験だって、正直、数えるほどもない。


そんな恋愛アマチュアの私に、駆け引きなんてもってのほか。
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