* another sky *

二人が行ってしまうと、

「後でなんて、何も話すことないのにね。」

と、梨花はムッとした顔で私に視線を向けた。


「梨花、大人の対応、凄すぎ。」


顔、違いすぎだから。


「仕方ないじゃん、今日は綾子の結婚式なんだから。

普通に道で会ってたら、無視するわよ。」


「あはは。梨花のそういう真っ直ぐなところ、好き。」


声をあげて笑う私に、

「玲が、すごく普通どおりだったから安心しちゃった。

上原さん、今日のこと何も心配してないの?」

と、小さな声で囁いた。


翼、―――?


ふと、見ると、翼はまだ、招待客の人と話をしている。


私と航太のこと、見てたのかな…。

気にはなるよね…。

そりゃあ、翼も嫌なはず…。

でも、今日まで私、何も言われなかったんだよね…。

何も言わないで今日の日を迎えたってことは、信用してくれてるんだと思うから。

翼って、そういうところ、大きいんだよね。

だから、絶対、悲しませたくないって思うんだ。


「翼は、たぶん、そういうの、大丈夫。」


「そう?それならいいんだけど。」


私がぶれない限り、翼はきっと大丈夫。


ね、翼、そうでしょう?
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