* another sky *

「ほんとだ。なんかちょっと違うよね。」


「そんなこと、言うなよ。

俺、優越感に浸ってるのに。」


「何よ、それ。」


おどけた翼が可笑しくて、私は翼の肩にもたれ掛かる。


「玲?」


―――――??


そっと見上げると、穏やかな笑顔がそばにあった。


「気にしなくて、いいからな。」


「え、―――?」


「さっき、渡瀬さん、いただろ。」


―――――!!


「俺のこと、気にしなくていいから。

話したかったら話せばいいし、俺に気を遣わなくてもいいから。」


「たす、く…??」


私は頭を上げて、真正面から見つめた。


「今日は一日長いだろ。

避けて通るのも難しいし、避けなくてもいいんじゃないかって。

玲が思うように過ごせばいいと思ったんだ。」


「翼…?」


「普通にしてたらいいよ。

話したかったら話せばいいし、話しかけられたら答えればいいし。

さっき、見てたらさ、玲が迷ったりするなんて、もうないなって思ったから。」


―――――!!


「私もね、会うまで緊張してたの。

だけどね、意外と普通だった。

懐かしいなって思うだけで、それ以上は何も思わなかったんだよっ。」


勢い余って、喋り出す私を翼は笑う。


「だってさ、―――。

俺が他の人と写真撮ったりしてる時の顔の方が、怖かったしね。」


翼は思い出したように、ふはっと笑う。
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