* another sky *

「玲、―――。」


「え、あ、はい。」


私は、慌てて、立ち上がる。


「ちょっと話がしたいんだけど、いいかな。」


話がしたいって…。

え、――。どうしよう。


梨花に視線を戻すと、神妙な顔で頷き、向こうに行け、と促している。


翼は…、どこに行ったんだろう…。


「あ、うん。少しなら。」


私は、航太の後ろを付いて行った。

ウェイティング用に用意されたドリンクの中から、航太はシャンパンを二つ受け取り、庭に面したソファを私に勧める。


「はい、玲。」


「ありがとう。」


口を付けると、琥珀色のシャンパンは冷たくて、美味しかった。


「元気だった??」


航太は、私が大好きだった、あの柔らかい微笑みで私の瞳を見つめた。


「うん。航太は?カナダはもう慣れた??」


「うん。仕事ばっかだけどね。
日本食も多いし、意外とすんなり慣れたよ。」


「そっか…。」


―――――。


どうしよう。

どう、話を続けて良いのか、わかんないよ。


「さっきさ、―――。」


――――?


「さっき、聞いたんだ。

…玲が結婚するって。」


――――――!


「俺、玲がカナダに一緒に来てくれたらいいのになって、ずっと思ってたんだ。

玲が今も一人でいるのなら、さっさとプロポーズしようって。」


困ったような表情で、航太は私を見つめた。
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