* another sky *

「…航太の、馬鹿…。」


精一杯、強がってみせるけれど、それすら航太には想定内のようで。


「俺はどんな玲も大好きだよ。」


ほらね、余裕たっぷりで。


「玲は? 玲の気持ち、聞かせて。」


「……っ。」


「言えないの?」


「…いじわる。」


お互いの下唇は、触れあったまま。


緊張しちゃって、息も上手く、出来ないよ――。



どうしてこんなにも切なくなるんだろう…。



これが恋愛――?


人を愛するって、こと…?


息苦しくて、切なくて…。


思考回路が、停止していくことが―――?



「好き、だよ。」



そっと目を逸らして呟いた。


悔しいけれど、私は航太が、好き――。


航太がいなきゃ、だめみたい。


すっと口角が上がり、優艶な表情で微笑む航太。


「…、でも、悔しいからあんまり言いたくない。」


精一杯の、負け惜しみ。


最大級の強がりを、口にして――。


「そういう、とこ。」


「え、――。」


「玲の、そういうところが、たまんない。」


「…航太?」


ふわりと力が抜けたように、航太は柔らかな笑みを見せる。


その笑顔に、心臓が射抜かれて。


私はまた、余裕を失くしてしまう。
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