* another sky *

「言いたいことははっきりと言うんだけど、嫌味がないの。

人一倍努力してるから、こっちも納得しちゃうっていうか…。

明るくて、可愛くて、女の子らしくて。

玲がいるとぱーっと明るくなるような。」


ちょっぴり切なそうな瞳に、俺は黙って頷いた。


「私が玲を笑えなくしたの。

私が…、玲を追い詰めたんだと思ってる。

一人で、どれだけの思いを抱えて過ごしてたんだろうって思うと…、想像するだけで泣けてきちゃう。

あの時、ああしていれば、こうしていればって、未だに思って後悔してました。」


―――――。


「久し振りに玲から連絡をもらって、綾子と会いに行って…。

玲の顔が全然違っていて、驚きました。

緊張からか、すごく神経を尖らせていて…。

ピンと張った糸が今にも切れてしまいそうで、痛々しくて…。

正直、見ていて辛かったです。

それなのに、渡瀬さん、―――。

ふらっと来て、簡単に玲を連れ出して行っちゃうんだもん。

ほんと、むかつくわー。」


梨花さんは二人のいる方向と視線を向けた。


今の、自然体で明るい玲が、みんなが知っている玲なんだろうな…と、ふと思う。

あの、2年という、玲が自分を取り戻す為に必要だった時間は、周りの人間をも巻き込んでいく。

梨花さんは、自分を責め続け、あいつは麻友理さんと付き合い出す。

そしてその二人を、友達という視点で支えていた綾子さん。
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