* another sky *
翼がいない。
もうすぐ披露宴が始まる時間なのに。
どこ行っちゃったのかな…。
翼を探して、さっきまでいたロビーに急いで戻ってみる。
あ、――――。
ロビーへ戻ると、相変わらず写真撮影に応じている翼がいた。
いた…。
笑顔で応対している翼を見て、ほっとした。
そして―――。
ほっとしたのと同時に、目の前の光景にいたたまれなくなった。
翼にもたれないで。
腕、組まないで。
翼も、肩なんか抱かないで!!
いき場のないヤキモチが空しくて、顔が引き攣ってしまう…。
「玲、――?
写真、終わったの??」
翼は私を確認すると、颯爽と歩いてこちらへやってくる。
いつもの、翼だよね??
何も、聞いてないよね??
ただ、探せなかっただけだよね??
そんなぐしゃぐしゃな思考に苛まれて。
出てきた言葉は馬鹿みたいに情けない、ヤキモチ。
「…肩なんか、抱かないでよっ。」
「え、――??」
驚いて目を見張る翼に、畳み掛けるように訴えた。
「写真、撮るのは仕方ないけど、腕とか組まないで。
もう、見たくないもんっ。
翼が、翼が、他の女の子とにこにこ笑って、肩なんか抱いちゃって…。
目の前で見せられるの、もう、嫌なの!!」
―――――!!
「玲、―――??」