* another sky *
「俺は自分に嘘は付きたくないし、はっきりと言うね。」
口調は柔らかくても、翼の意志が固いことが伝わってくる。
わざわざ、こんなことを言わせてしまった自分が腹立たしい。
「自分だけの能力や努力だけで、今までやってきたとは思ってないから。
綺麗ごとかもしれないけど、『頑張って下さい』とか言われたら、感謝の気持ちをちゃんと伝えたい。
それが、写真だったり握手だったり、そんなことくらい喜んで応じたいよ。
それ以上のものを、いつも俺は貰ってたんだから。」
―――――。
「玲が悲しく思うのは、わからなくもない。
俺だって、玲が他の男に触れられるだけで、はっきり言って虫唾が走る。
見たくもないし、聞きたくもない。」
―――――――!!
「……っ。」
あ…。
ああ…。
「だけど、これは…。
理解、してもらわないと…仕方ないかな。」
――――― …っ。
「俺のこと、信じられない?」
俯く私の頬は、そっと翼の両手で包まれた。
促されるように、顔を上げる。
穏やかな表情の中に、強い意志を感じられる瞳が…痛かった。
翼は、さっきの話を…、聞いていたんだとわかったから。
―――――。
うん…。
私、いつまでもこんなんで…。
覚悟、決めなきゃ…。
ぐだぐだしてたって、仕方ないんだから。