* another sky *
「恋は盲目だ。」
翼の言葉が、すっと沁みて響く。
私もそう、思うよ。
ヤキモチ焼いたり、焦れ焦れしたり。
こんな感情、翼にしか感じられない。
恥ずかしくて、…口に出しては言えないんだけれど。
「そろそろ披露宴、始まるね。」
「ああ。行こうか。」
すっと立ち上がり、私の目の前差し出された、手。
ほら、ね。
いつも私を導いてくれる、翼の手のひら。
翼は…、相変わらず凛としてるんだね。
翼の周りだけ、空気がきりり、としているみたい。
大聖堂の、ステンドグラスを背に立つ翼が、眩しい。
私が信じて、ついて行く人は…、この人。
翼、だけ。
そっと手を取り、私も立ち上がる。
「翼。」
「ん??」
「私が、翼を一生守ってあげる。
だから、覚悟、してね。」
「へっ??」
驚きと、嬉しさの混じった微笑みで、翼は私を見つめ返した。
「いつも好きって言ってくれないと、拗ねちゃうから。
私がぎゅってして欲しい時は、翼が忙しくしてても、抱っこしてくれないと、やだ。
たくさん充電してくれたら、100倍にして返してあげ―――。」
最後まで言い終わらないうちに、翼の腕の中に抱きしめられていた。
強く、強く、抱きしめられ、幸せな気持ちで満たされていく。