* another sky *
「できる?」
顔を上げて覗き込むと、
「簡単じゃん。」
と笑って、翼はおでこにキスを落とす。
「玲こそ、覚悟しろよ?」
「え。―――??」
「帰ったら、俺が納得するまで寝かさないからな。」
「……っ。」
「今日は、いっぱい、しよーっと。
絶対、飲み過ぎんなよ。
いろいろとぶつけたいことがあるんでね。」
「ぶ、ぶつけたいこと…?」
「ほんと、玲はラッキーだよ。
俺みたいに自己処理能力の高い人間が、相手で。
でもね、俺にも限度っつーもんがあんの。
俺がどれだけ今、我慢してるかわかんないだろ。」
「え、…あの…。」
ぎゅっと固まった私に、翼は不敵な微笑みを落とした。
「そうだ、――――。
帰りに、アレ、買って帰ろ。
絶対、足りなねーだろ。
今日は、泣いても絶対に譲らないからな。
死ぬほど啼かせて、わからせてあげる。
返事は、―――?」
「…はい…。」
か、覚悟、します…。
「玲が上だからな。」
――――――――!!
「駄目。そんな顔しても、玲に拒否権、なし。」
「翼…。」
引っ張られるように手を繋いで、歩く。
「…努力…する。」
ボソリと呟いた私に、翼はぶはっと吹き出し、振り返った。
「やば。も、それしか考えられなくなるじゃん。
早く帰りてーっ。」
真っ赤になった私の手を引き、翼は歩く。
きっと、ずっと、私たちはこんなふうに歩いていくんだろうなって、思う。
翼の背中を、いつまでも見守って…。