* another sky *
「いや、最強ですよ、玲は。」
「なに? つよい? 私??」
とんちんかんな答えに、梨花さんも呆れて
「あんたはもう帰りなさい。」
と、また頭をぱしり、と叩く。
「もうーっ。梨花ちゃんのばーか。」
「あーあ、ほんとにこの子は…。
タクシー呼びましょうか。」
「うん、頼める??
俺、トイレ、行ってくるから、玲をちょっとお願い出来るかな。」
「あれ、たすく、どこ行っちゃうの??」
「トイレよ、トイレ。
あんたが離れないから、トイレにも行けないんじゃん。」
梨花さんに諌められて、おとなしくなった隙に、俺はトイレへと向かった。
一応、確認。
俺が離れている隙に、またあいつに近付かれちゃ、困る。
ま、梨花さんが隣にいてくれるから、大丈夫だとは思うけど。
なんせ、酔っ払いだからな。
歩けるかなあ…。
いや、あれは歩けないだろうなあ…。
ったく、飲み過ぎんなって言ったのに。
幸せそうな綾子さんを見て、嬉しそうにしてたからなあ。
今日は、仕方ないか。
ま、――――。
あいつが見てる前での玲の乱れっぷりは、男として嬉しいけどね。
いや、最強だよ、まったく。
――――――――。
…いない、じゃん。
先に、帰ったのかな。
いや、そんなわけ、ないだろ。
あいつが玲に何も言わないで帰るなんて、思えないし。