* another sky *
「あ、ごめん、突然に。
俺、―――。」
「玲のお付き合いされてた方、ですよね。」
おい、おい、おい。
知ってる、つーの。
自己紹介なんか、やめてくれ。
「あ、ああ…。」
見開いた瞳が、俺を真正面から捕らえた。
こんな廊下で、何、話してんだ、俺たち。
躊躇ったような顔を見せるのは、俺が全て理解した上で話しているとわかったからだろう。
「いきなりでごめん。
ちょっと、話してみたかったから。」
何だ、ソレ。
話すことなんか、ないでしょう?
そう口にしようとした瞬間。
「…玲を、幸せにしてあげて下さい。」
視線を逸らさずに黙ったままの俺に、あいつは頭を下げたんだ。
「…っ。」
「俺が言う台詞じゃないことは、よくわかってる。
ただ、どうしても言いたくて。」
お前に一番、言われたかねーよ。
そんな俺の心の叫びも感じ取ってか、あいつはふっと笑ったんだ。
「余計なお世話、だよな。」
「…ええ。余計なお世話です。」
何なんだよ、あんた。
「…っ!!」
むかつくけど、頭、下げられちゃあ、な。
ちゃんと答えなきゃ、駄目だろう。
これで全てが終わるっつーのなら、聞いてやるよ。
お前の望む答えは、何なんだ??