* another sky *
「玲のことなら、ご心配なく。
僕は玲のことを愛しています。
どんなことがあっても、僕の、玲への気持ちは変わらない。」
「まっすぐ、なんだね。」
からかわれたのかと思った。
うっすらと笑いながら放たれた言葉に、俺はイラついて踵を返して背を向ける。
「あ、ちょっと待って。
怒らせるつもりで言ったんじゃないんだ。」
…めんどくせーな。
今度は不快感を露わに振り返る。
何が、言いたいんだよ。
「…っ。」
目に入ったあいつの顔は、苦しそうに歪んでいて。
俺は覚悟を決めて、あいつの前に突っ立った。
「何が、言いたいんですか?」
「…ごめん。
俺、玲のこと諦めきれなくてさ。」
―――――。
「今回、日本に帰ってきたら、すぐに玲に連絡しようと思ってたんだ。
結婚したいって、プロポーズしようと思ってさ。」
―――――。
黙ったままの俺に、あいつは続ける。
そんな話を聞いてどうなるのか、俺にはよくわかんねーけど。
「そしたら、玲、結婚するって聞いたんだ。
今日の今日、だぜ。
…驚いたよ。」
―――――。
「誰も、何も、俺に言ってくれなくてさ。
ま、当然なんだけど。
だけど、ずっと玲を思ってきた俺としては、諦めきれなかったわけ。」