* another sky *

はぁ―――。

これ見よがしに、溜め息を吐いた。


「玲ともう一度話してみたくてさ、声をかけたんだ。」


ふーん。

…あの時、ね。

俺は心が折れかけたけどね。


「玲がさ、俺の知らない玲になってた。

清純で、真っ直ぐで、一生懸命なとこは変わってないんだけど。

何ていうのかな…、人間的に成長したっていうか…俺の知ってる玲じゃなかった。」


「あの、―――。」


ちょっと微妙に…清純ってとこ、引っかかるんだけど。


「俺は玲に、一方的だったのかもしれない。

玲の、本当の気持ちには全然、気付いてなかったんだと思う。

その上で勝手に、俺たちは上手くいってるって自負してた。

玲が、どんな思いでいたのかなんて、全然わかろうともしないで、さ。」


―――――。


「玲と話してみて、それがよくわかったよ。

君の話をする時の玲が、本当に嬉しそうでさ。

諦めきれずにウダウダしてた俺にも、ビシバシと伝わってきたよ。

…君がどんなに玲を大切にしているのか、とか。

玲がどんなに君を思っているのか、とか。

玲は、君に愛されて…、本当に幸せそうに笑ってる顔が…、綺麗だと思った。

君に愛されて…、輝いていた。

俺には、君の真似すら出来ないよ。」


―――――。


何て返したらいいのかなんて、わからなかった。

ただ、――――。

あいつの目に、玲が幸せそうに写っているのなら…。

それでもう、いいんじゃなっかって…。
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