* another sky *
「僕は、自分の目に見えているものだけを信じています。
出会った頃の玲は、苦しそうだった。
あなたは知らないでしょう?
玲が必要以上に他人とコンタクトを取らないように、自分で境界線を張っていたことを。
精神的にもボロボロだった。
これ以上傷つくのが怖くて、殻に閉じこもったまま、ずっと一人でいたんだ。」
「……っ!!」
「でも、―――。
今、僕と一緒にいて、幸せだって思ってくれているのなら、僕は今、見えているものだけを信じていく。
玲のことは幸せにします。
幸せにする自信もあるので。」
「…うん。」
短いひと言に、大きな重みが感じられた。
「あなたの聞きたかった答え、でしたか?」
俺の言葉に、俯いていたあいつも顔を上げる。
そして、ゆっくりと口角を上げて、にやりと笑った。
「ああ、――――。
俺の入る隙も余地も、全くないって事がわかったしね。
だったら、幸せになってくれって願うだけ。
そうだろ?」
いや、いや、いや、君の気持ちはわかりませんが。
「ご心配なく。
僕はいつも玲に煽られっぱなしで、メロメロもいいところ、なんで。
彼女の願いなら、何でも叶えてあげますよ。」
澄ました顔で、ひと息に言い放つ。
こうやって、全ての気持ちを玲にぶつけてきたんだ。
玲がこれ以上、不安や心配で苦しまないように、と。