* another sky *
「心配するに決まってるじゃない。
もうっ!!」
「え、そう?ごめん、ごめん。
だから早く帰れるなあと思って。
玲、今日遅いの??」
「……っ。」
もう、―――!!
「じゃあ、そこまで書いてよ!!
あれだけじゃ、わかんないでしょうっ!!」
「電話で話した方が早いじゃん。
メール打つと痛いし。」
「痛いっ、――――??
手も怪我したの??」
「ふはっ、してない。」
もう―――――っ!!!
電話の向こう。
キイキイする私を、笑う翼にイラッとする。
「今、諏訪さんとごはん食べてるから!!」
「え、いいなあ。俺も行こうかな。」
行こうかな、って…。
「歩けるの??」
「歩けるっつーの。
ていうか、テーピングしてるだけで普段通り。
ただ、スケート靴は明日まで履けないけど。」
そっか…。
「じゃあ、タクシーで来てね。」
お店の名前と住所をメールして、送った。
「上原選手、来るって??」
諏訪さんの声が上から聞こえ、私は振り向いた。
「はい。怪我したらしくて、今日は早く帰ってきたみたいで。」
「怪我??」
「軽い捻挫、だそうです。」
私が神妙な顔をしているのにも関わらず、諏訪さんは
「え、―――。
じゃあ、飲まれへんの??つまんねー。」
なんて返してくる。
もう、心配したのに。
翼はいつもこうなんだから。
目の前でプリプリしている私に、諏訪さんは可笑しそうに笑っていた。