* another sky *

「…っ。」


そっか…。

こんな明るい光の下。

私だけじゃなくて、翼の表情もよく見えるんだね…。

こんな切なそうな表情で、私をいつも抱いていたの…?

自由になった手のひらを、そっと翼の頬に滑らせた。


「翼、…好きよ。」


ああ…。

私の指はあっさりと翼の唇に捕まってしまう。

甘く、噛まれると、その部分だけに意識が集中して、どんどん熱を帯びていく…。


「…たすく…。」


泣きそうになった私に、翼はそっと顔を近付けて。


「どうしたの?」


と、優しい声で囁いた。


「…翼が、好き過ぎて…、どうしようって…。」


「どうもしなくて、いいよ。

全部、受け止めるから。」


翼の、その切れ長の瞳が、さらに柔らかな視線に変わる。


ああ…。

本当に、翼が、好き。

私だけに見せる、この表情が、好き。


見つめ合った視線のまま、ゆっくりと触れ合う唇。


…ん…。


唇が、また熱を帯びはじめる。

ほんとに泣きそう…。


「…しあわせ、…。」


「俺も。」


好きよ、翼。

この思い、もっと、もっと、伝えたいのに。

翼の優しさに、つい、甘えてしまう。


「玲がそばにいてくれるだけで、俺は幸せだよ。」


私も、だよ。

翼の腕の中で、私はいつも満たされた気持ちでいっぱいになるの。

もっと、もっと、触れたくなる…。

もっと、もっと、翼の顔を、見ていたいって思うんだよ…。
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