* another sky *

「もう、翼っ。

今日は、―――。」


「わかってるよ。」



俺たちの、結婚式、だろ。



そんなの、わかってるって。

まだ、時間はたっぷりとあるんだ。

少しくらい、いいじゃんか。


寝起きで力の入らない玲の両手をあっさりと捕まえ、頭の上の方で固定しても、まだ。


「翼っ!!駄目だって。」


必死に抵抗を見せる、玲。

そんな抵抗、無意味だっつーのに。


瞬きを繰り返す玲の耳元で、俺は意地悪く囁いた。


「後で一緒にシャワー、浴びような。」


「……っ!!」


反論しようにも唇を塞がれ、玲は体をじたばたと揺らし始める。


「…ほん、と、だめっ。」


「もう、無理。」


「だって、今日はバタバタしてるし、ずっと立ってなきゃいけないんだよ。

腰が…っ…。」


コシガモタナイ。


そう言いかけた玲の唇をそっと塞ぎ、俺は舌を使って玲を黙らせた。


「抵抗されると燃えちゃうよ?」


「……っ。」


「優しく、するから。なっ?」


「だって…。」


よしっ。もうひと押し!!


拗ねた唇に、もう一度キスを落とす。


「…すぐ、終わらせるから。」


お願いモードの甘えた声で、玲の瞳を見つめると。


「…っ、もう、馬鹿…。」


…真っ赤になった玲が目を伏せた。


よしっ!! やった!!


俺は嬉々として、玲の耳元に唇を寄せた。

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